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501ロゴ

LEVI'S 501xx '22
自分の持ってるビンテージウエアで、506xxと共に一番古いアイテムがこの501xx22年モデルです。ベルトループが1922年に付けられる様になり、赤タブが1936年から付けられるようになったので、その間の501xxは一般的に22年モデルと呼ばれています。501xxの歴史の中で1番派手な形状をしていて、とにかく赤タブ以外何でも付いているのが特徴のモデルです。
ちなみに37年モデル(サスペンダーがなくなってからのモデル)は実は希少といわれながらもサイズや程度に目を瞑れば結構探すと出てくるんですが、このモデルになるとグッと数が減ると思います。自分は37年モデルは今まで4本所有したことがありますが、タイミングが合えば買えそうな出会いは当然その何倍もあります。しかし22年モデルになるとその1/4位でしょうか。一本リペアだらけのを手放した程度です。BIGEだの隠しリベットだのビンテージジーンズのディティールの単語が通用しないこのモデルは、勿論BIGEを表示するタブは無いしリベットを隠すどころかバックポケットから剥き出してそんな言葉をあざ笑っている様にも見えます。(そう見えるのは勿論俺だけですw。)
サイズも32×31のベストサイズなんで極々たまーに穿いていますが、当然誰もそんなジーンズを穿いているとは思わないのが非常に残念なとこです。(まぁ普通の方はどんなビンテージジーンズを穿いてもそうでしょうが‥。)

ポケット両端に剥き出しているリベットと赤タブがないのはこの頃のモデルの特徴。

戦前のモデルのリベットはその後文字が掘られたタイプになっていくが文字が浮き出たタイプを使用している。
ところでこのジーンズは自分のコレクションの中で唯一海外で買ってきた思い出の品なんです。ロスに仕事絡みで言った時夜明けと共にタクシーでローディアムなるフリーマーケットに出かけたのですが、何せそこに行くのも初めてだったのでとにかく興奮しました。しかし行ってみても中々ビンテージとは巡り会えず、やっとの事でビンテージジーンズを多少並べているウエスタンハットのいかにも太ったアメリカ白人のおっさんを発見しました。
しかしそんなに凄いアイテムがあるわけでもなかったんですが、何かないか勇気をもって聞いたところ、でかいスポーツバックを指差しその中を見てみろと言われました。中を見るとサイズのデカイ革パッチやセカンド等が出てきて「おっw」と思いましたが、どれも購入するには微妙なものばかり。半ば諦めかけてバックの底にある薄いジーンズの足を引っ張り出すと、なんと剥き出しリベット、サスペンダー付のこれを発見。当時は日本も大ブームに向かう坂道途中だったので、全てこのクラスは非売品や参考商品あるいは天文学的な金額でした。だからこんな無造作な扱いにも驚き、流石ビッグなお国柄だと改めて知らされました。
「これも売り物ですか?」と尋ねるとその白人は「オフコース。でも高いよ。」と殆ど相手にしない雰囲気で一言。早速穿いていいかと尋ねたところ、後ろに停まっている車の中で穿きなというようなジェスチャーをしてきました。自分も興奮をしていたので、「ここでいいよ。」と言いながらその場でズボンを脱いだらその白人は大爆笑。二人の距離が少し近づいた流れの風を感じながらそそくさと足を通しました。するとまるでシンデレラがガラスの靴を履いているかの様に自分のサイズにピッタリでした。これはヤバイと思い、恐る恐る「いくら?」と尋ねると、これはローズボールなら3000ドルで売れるものだと主張してきました。当時「円」が120円位だったので「36万!?」と思いバサっとスポーツバックに戻すと、その白人は「しかしここはローディアムだから2000ドルでどうだ?」っとガクっと歩み寄ってきました。
「歩み寄る→売りたい」とっさに頭が働き、2000ドルで24万。悪くはない金額だけどフリマで言われた金額でそのまま買う馬鹿な日本人はいません。当然買うのを前提に日米交渉劇が始まったのです。
自分は「1500ドル以上払わない。」まずその男に伝えました。男は「NO!」と言いジーンズをまたスポーツバッグの方に置いたので、まぁ焦ることはないしばらくほっとこうと他のデニムを探ってみたりしてました。彼の出品スペースには運良く他の人が一人もいなかったので気にかける人は自分しかいないからこちらにも余裕がありました。 すると案の定1分もしないうちに「1800ドルでどうだ?」と言ってきたので、表情を一つ変えず「1500ドル。」と言うとまた彼もプイと顔をそむけました。 そんな空気がどれくらい続いたでしょうか、明らかに売りたい彼と明らかに買いたい自分の攻防劇は終盤を向かえる事になりました。
流れをくい止めたのは新登場人物自分の会社の上司でした。実は同部屋だった事もあり一人で見知らぬ国で夜明けのタクシーに乗るのは不安だったので、前日からこのフリーマーケットに行こうと半ば強引に連れて行ってたのです。敷地内でフラフラしてた上司が自分を見つけ疲れた様子で「もう帰ろう。」と声をかけてきたのです。
当然日本語で声をかけてきたのですがその白人は事の流れを察知して焦った様子で「最後だ。1600ドル。」と言ってきました。もう一度「1500ドル。」と言いましたが本当に呆れた表情に変わったのでこれ以上部長を待たすのも悪いのもあり、ポケットからそこで初めて現金を出しました。そして白人の手の平に1枚ずつ100ドル札を数えながら置いていき15枚置いたところで手を止めました。彼はまだ自分の手の中にある次の1枚の100ドル札を見つめているので、そこでこちらも初めて一歩歩み寄り16枚目の100ドル札を彼の手にゆっくり置きました。彼の手の上に16枚目が乗ったその瞬間自分の体を軽々持ち上げて「ブラザー!!」と言いながら抱きしめながらくるっと一回転。そこで何だか友情が結ばれた感じさえしました。
こんな形で日米交渉劇は幕を閉じた訳なんですが、今まで眺めたことしかないこの時代のジーンズを本場アメリカのフリーマーケットで自力交渉して買って帰るなんて何かすごく気持ちよかったなぁ。決して安い買い物じゃないし、しかも旅の前半だった為にその後の滞在費は苦労したけどw、本当お金では買えない思い出がこいつには詰まっている気がしてね。未だに愛着があるジーンズの一つです。  

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